見えない貌
著者: 夏樹静子
出版社: 光文社
サイズ: 単行本
ページ数: 579p
発行年月: 2006年07月
日野朔子の娘晴菜が、「メル友に会いに行く」というメールを残して行方不明となり遺体で発見された。朔子は娘の残した携帯電話からある男が犯人であると確信し、娘のために復讐を誓うのだが・・。
久しぶりに夏樹静子を読んだ。彼女と出会い系サイトの組み合わせに一瞬違和感を感じたが、母親の視点でストーリーが始まるので何となく納得。
少しずつ明らかになっていく娘の別の一面に衝撃を受けながら、母親としての愛情と後悔に打ちひしがれる朔子がある行動に出るまでが前半。
後半は一転して、弁護士の視点で見る事件の解明と容疑者家族の愛情ストーリーへ移っていく。
読者としては、被害者家族への同情と共感から今度は容疑者家族の苦悩へと心を沿わせることとなるので、気持ちの持ちどころが不安定になってくる。
途中で事件の真相も見えてきてしまうのだが、殺人事件よりも激しい家族愛に圧倒されて一気に読んでしまうところはさすがの夏樹静子か。
素性が明らかでないままメールを通して心の隙間を埋めていく若者たちと親の我が子への愛情。
現代の人間関係と親子の愛情を夏樹流に描き出された読み応えのある作品。
読了日:2008.10.20
★★★★☆

