![]() | 飯綱颪―十六夜長屋日月抄 (学研M文庫) (2006/12) 仁木 英之 商品詳細を見る |
深川の十六夜長屋の住人で泥鰌漁師の甚六は、ある日行き倒れの大男を見つける。
記憶を失っていた大男は山さんと名付けられ長屋での生活に馴染んでいくが、信州山中より彼を追う者たちが迫ってくるのであった。
『僕僕先生』の仁木さんが書いた江戸時代小説。
江戸人情物であり、忍者物でもあるようなストーリーだが、言葉遣いや展開など、完全なる時代小説とは言えないのではないかという曖昧な印象も受ける。
江戸の長屋、松代藩江戸屋敷、信州とめまぐるしく舞台が入れ替わるのもやや疲れる。
もう少し一ところに心を置いて読み進めたい。
また、後半一気に忍者の忍術合戦のようになったところにもやや戸惑いがあった。
しかし何となく全体的には面白い。
それはひとえに登場人物たちの魅力がなせる業だろう。
長屋の住人たちが庶民として生き生きと動けば、復讐に駆られた武士がおり、影の世界から逃げ出した宿命を背負う男に追う一族と、それぞれが上手くその役回りを果たしている。
続編も出せそうな終わり方だったと思うが、今のところは中国歴史物の発表が続いている様子。
私としても、十六夜長屋の連中には悪いが、この作者は中国物の方が面白い気がする。
![]() | ブラック企業の闇―それでもあなたは働きますか? (晋遊舎ブラック新書 8) (2008/05/10) ムネカタ スミト 商品詳細を見る |
”ブラック企業”という言葉もすっかり定着した今日この頃。
受け入れている場合ではないのだが、あるあるとわかってしまうのが怖い。
帯に「働けるだけ働いて死ね!」とある辺り、晋遊舎っぽい煽り・・。
内容としては過去の過労死や労働訴訟などを取り上げたり、元社員らのイニシャルトークでブラック会社の内情を晒すというもの。
淡々と取り上げているので読みやすい。
新聞沙汰になって記憶に新しいような訴訟も色々取り上げている。
結局のところ、古き日本の家族主義と欧米の合理的な個人主義とがごちゃまぜになっているからこんなことになっているのではないだろうか。
もう最初から会社と自分を切り分けて、いつでも辞められる準備をしておくべきなのでは?
死んだり精神を病んだりすることを考えれば、いくらでも他の道が選べそうな気がする。
まあそう考えられる人間はこんな目には合わないのだろう。
日本では転職を重ねることが悪しきことのようにとられることが多いので、ギリギリまで我慢する人たちで成り立っているのだろうが、”ブラック”と言われる企業が利益をあげ続けている限り労働問題はなくならないだろう。
内側からもっと声をあげるべきだと思うがこの不景気ではそれもままならないかもしれない・・。
読了日:2010.1.28
★★★★☆
![]() | 宋文洲の傍目八目 (NB Online book) (2007/04/12) 宋 文洲 商品詳細を見る |
日経ビジネスオンラインで連載されていた宋さんのコラムまとめ本。
内容は教育、経済、日中問題など多岐に渡っている。
ネットで読めるとは言え、本で読むとやっぱり落ち着く。
ネットで読むのならこちら。
日経ビジネスオンライン>宋文州の傍目八目
微妙に数回分本に納められていないのが謎である。
中国人でありながら長く日本に在住しビジネスを成功させたという立場的なことからか、ネットでの公開ということを考えてか、かなり慎重な文章となっている。
それでも色々心無いコメントも入ってくるようだが・・。
中国人として外から見た日本であったり、日本在住の立場から見た中国や世界についてであったりの考えが述べられており、グローバルな視点で面白い。
また、中国故事やご自身の経験を交えた意見はとても説得力があった。
コラムなのでそれほど深く切り込んだ話にはしていないが、宋さんの人となりや考え方がわかって面白かった。
興味のある方はとりあえずネットで読んでみて欲しい。
読了日:2010.1.25
★★★★★
![]() | いっちばん (2008/07) 畠中 恵 商品詳細を見る |
しゃばけシリーズ第7弾。
「いっちばん」は妖オールスターズが競って若旦那に喜んでもらえる贈り物を考える可愛い話だったし、「いっぷく」では気になっていた冬吉が再登場してキャラが増えたことで楽しみも増した。
そして何といっても「天狗の使い魔」で私の好きな狛犬が存在感たっぷりに登場したのが嬉しかった。
ちょっと可哀想な役柄だったが、狛犬が泣いたり怒ったりしている情景を想像しただけで楽しすぎる!
実は若旦那の名推理も立派なものなのだが、魅力的な登場人物や妖たちばかりに注目しているかもしれない。
今巻は、栄吉やお雛ちゃんといった主要キャラが中心の話があったのも良かった。
若旦那を始め、まだ若いキャラクターたちが日に日に成長しているのを感じることができてほっとする。
まだまだ広がるしゃばけワールド。
既に次巻がまた楽しみになっている。
読了日:2010.1.22
★★★★★
![]() | ちんぷんかん (2007/06) 畠中 恵 商品詳細を見る |
やみつきになっているしゃばけシリーズの第6弾。
また短編に逆戻り。
今回はしょっぱなから若旦那がいつも以上に死にかけたり、松之助の縁談が進んだりとなかなか波乱含みの展開だった。
松之助と若旦那の絡みがもっと欲しいので、長崎屋からいなくなってしまうのはとても残念だ。
しかしが、松之助夫婦の悩みを聞くとか甥や姪が生まれるとか・・・世界が広がっていくのは面白いかもしれない。
若旦那の行動範囲が広がっていくのは話にも広がりが出て楽しみが増えそうで期待できる。
最後の「はるがいくよ」では、命の長さが違う者同士の交流の切なさが伝わってきて少ししんみりとした気持ちになった。
しかし妖全てが長命だと思い込んでいたけれどまだまだ色々な設定があるらしい。
続けて第6弾まで読んできたが既に7巻も読み始めている私・・・止まらない!
読了日:2010.1.21
★★★★★
| ぬばたま (2008/01) あさの あつこ 商品詳細を見る |
山に囚われ山に還っていく者たちを描いた短編集。
市役所を退職させられ家族をも失った男が山の中で出会った女、初恋の男の子から電話をもらい故郷の山へ向かう主婦、子供の頃山の中で見たものを忘れられない男たち・・。
どちらかというとホラーになるのだろうか。
幻想的でありながらも底知れぬ山の闇を色濃く描いた作品集となっている。
山のもつ迫力や、それぞれの登場人物たちの感情などそれなりにまとまっていて読みこなせるのだが、よくあるようなストーリーばかりでどうも物足りない。
あさのあつこだからいいが、新人なら本になることはないのではないだろうか。
それとも「終話」で判明する構成を生かすためにこのような内容なのか・・。
救われない結末のものが多く、感情移入もしづらい。
![]() | うそうそ (2006/05/30) 畠中 恵 商品詳細を見る |
しゃばけ第5弾は長編。
あっという間に読み終わってしまった。
何と若旦那が旅に出る!
しかも出発から波乱含みの旅で、とても湯治にでかけたとは思えない珍道中となっていく。
若旦那の体力だととっくに死んでいそうな荒々しい出来事が度々起こったり、敵が簡単にお友達になったりと、首をひねるような箇所が多々ある作品ではある。
それでも楽しめるのは、しゃばけの世界観が魅力的だからだろう。
多少の矛盾や説明不足を気にさせないくらい入り込んで読むことができる。
設定などが気にならないのは漫画的な感覚なのかもしれない。
佐助と仁吉が側にいないとこんなに心細いとは思わなかったが、後半二人が大いに妖の力を発揮してくれたのはまた面白かった。
江戸の街中では人目があって難しいだろう二人の力も、たまに離れた場所が舞台でなら見ることができる。
せっかく多くの妖たちが出演しているので、若旦那の知恵も良いが、妖たちの活躍も見たいのである。
読了日:2010.1.19
★★★★☆
![]() | おまけのこ (2005/08/19) 畠中 恵 商品詳細を見る |
続けて読むと益々面白いしゃばけシリーズ第4弾。
短編集ではあるものの、以前の登場人物が出てきたり事件が関係したりとどこか繋がっているところもあるので、やはり順番に読みたいところ。
図書館では飛び飛びにしか残っていないので、何とか順繰りに読めるようにネットで予約を続けている。
家ですぐに予約ができるなんて本当に便利になった!!
さて、今回の巻は痛快なだけでなくなかなか考えさせられる話が続いており、今までとはやや趣が違う印象だった。
著者の気分によるものだろうか。
どこにも属せない「こわい」の話、2回目の登場である一色屋お雛の化粧の話、影女や吉原の話にも寂しい背景があって切ない気持ちになってくる。
しかし最後の「おまけのこ」で、鳴家のかわいらしさに微笑ましい気持ちになって終わることができるので読後はやはり爽やかなもの。
お雛を励ます屏風のぞきの人情やら鳴家と若旦那の友情?やらと、巻が進むにつれて知ることができる妖たちの意外な一面がまたマニアックな楽しみを与えてくれて、飽きることがない。
大人の娯楽小説として本当によくできているシリーズだとしみじみ思う。
年に1冊程度の発行のようなので、楽しみに待つにはやや時間がかかるが、一気に読んでいる身なのでしばらくは楽しみが続くのが嬉しい。
なにしろこの記事を書きながらももう第5弾を読書中なのである・・・。
読了日:2010.1.17
★★★★☆
![]() | ねこのばば (2004/07/23) 畠中 恵 商品詳細を見る |
しゃばけシリーズ第3弾。
今回も短編集である。
人でない者たちが脇役を張り、殺人事件が次々と起こる割には軽やかな読み口なところが良い。
気負わず読めて娯楽小説とはまさにこのことである。
シリーズを読んでいくことで、段々と長崎屋周辺の情景や登場人物たちが馴染みになってきた。
妖たちの様子もはっきりと頭に浮かんでくるようになったのがまた楽しい。
表題作である「ねこのばば」では以前お札をもらった広徳寺の寛朝の人となりが判明したし、「産土」はやや薄気味悪い話だったが、初めて佐助にスポットを当てた話を読むことができたりと”しゃばけ”の世界観が広がっていくのが魅力的なのではないだろうか。
あえて言うなら、若旦那がおぼっちゃま過ぎて江戸時代の町の全容までは広がらないのが残念なところかもしれない。
「たまやたまや」ではお春ちゃんがとうとうお嫁に行ってしまった。
身分を越えてもうまくいくかもしれないと期待していたのだが・・・畠中さんも意外とシビアである。
それでもこの先戻ってきてやっぱり若旦那と、ということもあり得るかもしれない。
やや希望を残しておくこととしよう・・・などとすっかり感情移入してはまっているようだ^^;
読了日:2010.1.17
★★★★☆

Author:ruru
雨の日の読書が好きです。
気分に合わせて色々な本を読んでいます♪
その時の気持ちで勝手にランクをつけています。
★4つは個人的に面白かったと思う本。
★5つは巧いと思った、勉強になった、または衝撃を受けた本。
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