2008-07-07(Mon)

『千日紅の恋人』帚木 蓬生

千日紅の恋人 (新潮文庫 は 7-18)
『千日紅の恋人』
帚木 蓬生
新潮社 2008-03-28


二度の結婚を経て独身の時子は、ヘルパーのパートをしながら父の遺した古いアパートの管理人として一癖も二癖もある入居者たちを家族のように見守っていた。もう恋はしないと思っていたが、入居してきた青年のことを意識し始める・・。『閉鎖病棟』同様立ち上がりはスローだ。多くの登場人物それぞれの性格がはっきりと浮かび上がるまで恋愛らしい展開も無いので、しばらく話の軸が見えてこない。最近の小説にはないこのスローテンポさがこの作者の個性かなと思うしここがまた良い。山場や刺激は無いが、読後何故か心の中が満たされている。きっと作者は人間が好きなのだと思う。どんな人物にも暖かい眼差しが感じられるところに惹かれるのではないか。

読了日:2008.7.3
★★★★★


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2008-06-30(Mon)

『虚夢』薬丸 岳

虚夢
『虚夢』
薬丸 岳
講談社 2008-05-23

娘を殺し妻を傷つけ、家庭を失わせた犯人は精神鑑定の結果刑務所へも行かず、自分たちの住む町を自由に歩き回っている。その姿に怯える別れた妻を今度こそ守る為三上は犯人を見張ることにするが・・。「心神喪失」で罪を免れることができる法律は間違っているのではないか?遺族の鬼気迫る思いを描く。読みやすく一気に読めるし、うまくまとまってはいる作品だとは思う。”未成年”同様難しい問題をテーマにしており考えさせられるが、丁度『閉鎖病棟』の後に読んだのでう〜ん普通の感覚で書くと結局こういう描き方になるよなあ、というのが一番の感想。


読了日:2008.6.28
★★★☆☆


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2008-06-30(Mon)

『閉鎖病棟』帚木 蓬生

閉鎖病棟 (新潮文庫)
『閉鎖病棟』
帚木 蓬生
新潮社 1997-05

背表紙に精神科病棟での殺人事件・・とあり、最近読み漁っているミステリーの1冊として購入したのだが読んでみるとミステリーではなかった!何十年にもなる入院生活を送る精神病院の患者たち。外出は禁止されていなくても社会には戻れず閉鎖されていた昔と変わりはない。その中で家族との関係をやり直す者、自己を取り戻す者、彼らと触れ合い癒される通院患者、そして優しさから起きた殺人事件。登場人物が皆純粋で優しい。温かく切ない小説だった。作者は現役の精神科医。話の進みも登場人物たちの言葉もとにかく柔らかい。「琴線に触れる小説」と逢坂剛氏が解説しているが大げさではない。(こういうのって普通大体はずれているんだけどね)初めて読んだ作者だったが、この人素敵だ!とか思ったので別の作品も購入してみた^^;読むのが楽しみ。

読了日:2008.6.25
★★★★★


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2008-06-29(Sun)

『犯人に告ぐ』雫井 脩介

犯人に告ぐ
『犯人に告ぐ』
雫井 脩介
双葉社 2004-07

連続児童殺人事件の犯人をおびき出すために警察はTVを利用して犯人に呼びかける「劇場型捜査」を始める。捜査責任者としてTV出演することとなった巻島警視は、5年前の児童誘拐殺人事件後のマスコミ対応で失脚した人物だった・・。警察小説とあるが犯人は最後の最後まで影が薄く、警察内の捜査状況と主人公巻島の心理描写が一貫して描かれている。警察内部やTV局との駆け引きに重点をおいてあるのがこの作品の特徴であるしそれなりに面白く読めたが、もう少し犯人像がはっきり描かれ対決場面などがあった方が盛り上がったのではないか。

読了日:2008.6.22
★★★☆☆


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2008-06-23(Mon)

『失踪症候群』貫井 徳郎

失踪症候群 (双葉文庫)
『失踪症候群』
貫井 徳郎
双葉社 1998-03

一見何のつながりもない若者たちの失踪。警察が動けない裏の事件を手がける警察官の環、私立探偵の原田、托鉢僧の武藤、肉体労働者の倉持がその真相を探る。自らの意思で消えたように見える若者たちはどこへ行ってしまったのか。数ページ読んで気づく。「これ読んだし・・ていうか3部作全部」(苦笑)でもかなり前のことだし結局また読んだ。最近本屋で適当買いするのでミスが多いなあ、反省。結末も徐々に思い出してしまい楽しみ半減。ミステリ系はどんなに面白くても何度も読めないのが残念だ。人物設定を見てもわかるようにエンターテイメント性が高い作品。若者の失踪のからくりは面白い。なるほどそんな手があるのかと感心した。

読了日:2008.6.22
★★★☆☆


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プロフィール

Author:ruru
あくまでruru個人の主観による感想です。理解不足・見解の違い等ご容赦ください。

☆は印象に残っている本

【幼稚園】
絵本配布日が何よりの楽しみ。
☆かこさとし『からすのパンやさん』

【小学校】
図書館貸出NO.1を目指す。読み過ぎで視力急低下。
☆ミヒャエル・エンデ『モモ』

【中学校】
コバルト文庫にはまりつつ、太宰などにも傾倒。
☆大江健三郎『死者の奢り』

【高校】
文芸部・同人サークルで小説自作も。漫画傾倒最盛期。
☆トールキン『指輪物語』

【大学】
国文学科入学。卒論は大江健三郎。
☆樋口一葉『たけくらべ』

【社会人〜】
実用書率UP。純文学から遠ざかりつつある今日この頃。

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